偶発症について



ここでは、矯正治療を行うことによって起こり得る、いわばマイナス面についてご説明をさせていただきたいと思います。
たとえば、風邪をひいたときに薬を飲んだとします。熱が下がり、身体は楽になったものの、薬の副作用で少し胃をいためてしまった・・・よくきかれるエピソードではないでしょうか。このように、現代の医療においてはプラス面だけを100パーセント期待でき、マイナス面の心配が全く無い治療というものが非常に少ないように思えます。もちろん懸念されるマイナス面(リスクと言い換えてもいいでしょう)に比べて、期待されるプラス面の方がずっと大きいから皆様は様々な治療をお受けになるのですし、マイナス面の方が大きいような治療は当然行われるべきではありません。
私は、矯正治療は皆様に素晴らしい恩恵を与えてくれるものであると信じています。また、現在矯正治療の術式は非常に洗練されてきており、ここに述べるようなことが著明に起こることは比較的稀といえます。しかし、起こり得る可能性がゼロではない以上、矯正治療をお考えの方にお知りおきいただくことは必要であると考えました。お読みいただければ幸いです。
なお、ここに述べられている内容についてもっと詳しくお知りになりたい方は、どうぞメール等でお問い合わせください。


歯根(歯の根っこ)の吸収

治療における歯の移動により、個人差はありますが一部の歯の根の先が少し短くなることがあります。しかし、ほぼ全てのケースでその歯はそのままお口の中で機能し続けますし、痛み・動揺等の症状が出ることもありません。

歯肉(歯ぐき)の退縮

矯正治療を行った結果、歯についている歯ぐきの高さが少し下がることがあります。特に成人のかたで前歯に乱杭歯がありますと、矯正治療後に前歯の間に三角形の隙間(ブラックトライアングルと呼ばれます)が生じることがあります。なお、自然の状態でも、歯ぐきの高さは年齢と共に少しずつ下がっていきます。

歯の失活

ごくまれに、矯正治療中に歯の神経が壊死をおこす、失活(しっかつ)が起こることがあります。強い矯正力に起因することが考えられますが、以前にぶつけたりしたことのある歯は、こういったことが起こるリスクが若干高くなるともいわれます。歯としての機能は失われませんが、変色が生じることがあるためそれに対する対応が必要になることもあります。もちろんこういったことを極力起こさぬよう、細心の注意をもって治療を進めてまいります。

むし歯

矯正治療中適切なブラッシングが為されない場合、装置周辺にむし歯を生じてしまうことがあります。その場合、必要に応じて一部矯正装置を撤去し、治療を行うことになります。ブラッシング方法に関しましては、誠意をもってご指導させていただきますのでご不明の点はどうぞ遠慮なくお問い合わせ下さい。

顎の関節について


現代人の顎の関節は弱くなっており、音がしたり、開けにくくなったり痛みを感じる人が増えてきています。矯正治療が直接の原因になることは稀と思われますが、もしこのような症状が出たり、矯正治療前にあった症状が進んだような感じがあった場合、歯の移動を一旦お休みし顎を安静にすることがあります。一方、矯正治療によりかみ合わせの問題が改善され、顎関節の症状が良くなることももちろんあります。


後戻りについて

矯正治療では、その方にとって望ましいと思われる位置に歯を移動していきます。しかしながら、移動された歯はもとあった位置に戻ろうとする傾向を持ちます。この後戻りを解消する根本的な方法は未だありません。そのため矯正治療には、「保定」という、動かし終わった歯をその位置に留めて周囲の組織が落ち着くのを待つステップが必要になります。このステップが疎かになると望ましくない歯の移動が生じることがあり、場合によっては部分的な再治療が必要になります。
また、特に成人の方の治療において、 治療により完全に閉鎖した抜歯スペースが、保定の段階において僅かに離開してくるといった術後変化が生じることもあります。

   いとう矯正歯科